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2005年 07月 20日

戦争広告代理店

久々に「戦争広告代理店」を引っ張り出して読んでみた。「Public Relations」とは何かを再確認させてくれるエキサイティングな本である。

タイトルは広告代理店となっているが、正確には広報代理店の話である。日本ではまだまだ馴染みの薄い業種であるため、広告代理店としたのだろう。日本ではこのタイトルの方が売れることは間違いない。

日本で言う「広報」は広く知らしめること。つまり、GHQを始めとするお上からの通達のことであり、本当は「Public Information」である。また、日本でいう「PR」という言葉は宣伝と訳されることも多々あり、要するに広告、PR、DM、SPなど全てを包括したマーケティングコミュニケーションの意で用いられることが多い。ただし残念ながらその多くは双方向コミュニケーションではない。

翻って欧米の「Public Relations」はあくまでも双方向のリレーションシップに重点を置いており、最終的にステークホルダーにこちらの意図する感情を抱かせ、行動をとらせることを目的としている。対象はメディアに限定されることなく、政治家、芸能人、圧力団体、従業員、地元コミュニティなど多岐に渡る。正しく使えば非常に強力なコミュニケーション手法であり、非常に高度なテクニックと属人的なセンスを要する。広告のようにお金で解決できる世界ではなく、人間関係という泥臭い世界であり、結果はもちろんだがそこに至るまでのプロセスが非常に重要である。

今やIMC(Integrated Marketing Communications)の概念は知れ渡りつつあるが、日本の多くの企業はまだまだ本当の意味でのコミュニケーションを理解していない気がする。マーケティングコミュニケーションの本質を理解していない会社ほどマス広告に走りたがる。なぜならカバレッジ、リーチ、CPMといった社会的に確立された概念で表現でき、目に見えるクリエイティブがとりあえずの成果として残るからだ。Public Relationsはより長期的な視点を必要とし、その目に見えづらい効果は本質を理解している者にしか見えない。が、私は成熟期を迎えた日本の多くの産業においては戦略的Public Relationsこそが威力を発揮し、プロモーションコストの圧縮に貢献できると信じている。

「戦争広告代理店」の筆者は日本のこのような状況を考慮した上で、あえて「広告代理店」としたのだろう。大手広告代理店がメディアバイングの片手間にPR業務を請け負っている日本においてはこの方が圧倒的に売れるからである。

「マーケティング」と同じで「Public Relations」も概念でしかない。職業を聞かれて「マーケティングやってます」という人はちょっと違うような気がする。どんな産業でも、どんな職種でも、どんな立場でも「マーケティング」の概念は必須であり、ある意味消えることのないフィロソフィーである。あらゆる人が活用できるメンタリティなのだ。

日常生活で人々はコミュニケーションを活発に行っており、そういった意味では無意識のうちにPublic Relationsのテクニックを使っている人も多い。あとは、コンセプトを理解し、自分のコミュニケーションツールの1つとして戦略的に活用するだけである。そんなことをこの本のタイトルを見て考えてみた。e0054938_3422385.jpg
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by masakatsuyamamoto | 2005-07-20 02:46 | ブック&ムービー


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